30代以上の人は使った覚えがあるはずのカセットテープ。もう絶滅寸前かと思いきや、最近価値が見直されてきているそうな。
カセットテープとは、小型のケースに音声を保存できる磁気テープを入れることで録音し、録音再生装置に差し込むことで再生できるようにしたものです。
ただCDの普及とともに、音質の問題や長期保存の際の品質劣化など気になる部分も多くなり、最近ではあまり使われなくなってきています。
若い人の間ではこんな話も出てくるほど。
古い自動車を購入した若者から「iPhoneドックが壊れている!」との申し出があり、見てみるとこのような状態だったのだそう。
カセットプレーヤーをドックと勘違いしてiPhoneを挿入してしまう若者が現れる | iPhoneひとすじ! かみあぷ速報
ある若者が車に搭載されているカセットテープの挿入口をiPhoneのドックだと勘違いし、挿し込んでしまったんだと。
そんなアホな、と思ってしまいましたが、生まれた時からカセットテープ・ビデオテープと縁のない若い人はもう「巻戻し」って言葉もよく分からないそうで世代を感じてしまいますね。
そんなカセットテープですが、まさかのアメリカで復活中なんだとか。
音楽用カセットテープがCDに取って代わられ、多くのカセットテープメーカーが生産を中止する中、全米で最後のカセットテープメーカー「ナショナル・オーディオ・カンパニー(National Audio Company)」が好調だ。
全米最後のカセットテープメーカーが、創業以来の大黒字 – IRORIO(イロリオ)
1969年に創業して以来、今年最高の売り上げを記録したんだそう。2014年に1000万本以上のカセットテープを生産。そして今年はさらに20%も売上を伸ばしたんだと。
売り上げの内訳はミュージック用カセットテープが70%で、録音用のカセットテープが30%とのこと。
カセットテープ全盛期のころでもなく、なぜ今、と不思議に思ってしまいました。全米で最後ということから一極集中したとしても。
ナショナル・オーディオ・カンパニーのスティーブ・シュテップ社長は、
「我々は音楽用カセットテープの需要の波が再び来ると信じ、その時に向けて準備していたんだよ。そして、今その通りのことが起こっている」と言うシュテップ社長。
全米最後のカセットテープメーカーが、創業以来の大黒字 : PCパーツまとめ
というほど、カセットテープの復活を確信していたそうな。確信していたゆえに、ほとんどのカセットテープメーカーが90年代末にはCDに移行してしまったにもかかわらず、この会社は変わらずカセットテープを作り続けたと。
その読みが見事に当たって創業以来、最高の売り上げを記録することに。
そもそもなぜ今、アメリカでカセットテープの人気が再燃しているのかというと、
上の世代はノスタルジーを、下の世代は真新しさを感じ、コレクターズアイテム的な意味合いも含めて愛されている。
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若者世代にとってはフォルムも含めて進めるのにも巻き戻すのにも手間のかかるアナログ感が、逆に「めんどくさいけど、カッコいい」んだと。
この状況について、プロダクション・マネージャーのSusie Brownは、「多くのインディーバンドが、再び温かみのあるアナログ・サウンドを求めていたことが、現在の業績につながっています。そしてその需要は、まだまだ増え続けています。」と語っている。
アナログ回帰は止まらない。カセットテープブームを支えるアメリカ最後のオーディオカセット製造工場『NAC』 | soundrope
ミュージシャン側もインディーズレーベルやバンドが、カセットテープにダウンロードコードを付けて売る機会が増えているそう。
とはいえ、カセットテープだけで聞かせるというわけではないんですね。一応、iPhoneやAndroidなどスマートフォンでも聞けるようにダウンロードコードは付いてくると。
80年代ブームみたいなもんなんですかね。記録媒体だけでなく音楽自体もリバイバルブームだなんだで回りまわっていますし。
このブームが一時的なものなのか、これからもじわじわ盛り上がっていくのか楽しみです。