その環境で生きるためにもたらされたツルの一本足
凍てついた冬の水辺。そこで堂々と立ったまま寝ているツル。
日本の題材によく選ばれる構図ですがとんでもなく難しい姿勢で人間には真似の出来ないポーズなんだと。
目を閉じて一本足で立つと言えば平衡感覚のテストであります。
人間の場合、わずか数十秒くらいでぐらついてきます。
素人だと、たとえツルであっても2本足のほうが安定性が高いんじゃないかと考えます。
けれど、ツルが立っている環境を考えてみますとどうですか。
そこは触れる物みな凍てつく極寒の大地、出来る限り体が地面と接することは避けたい。
背中に首をうずめ足も1本を中に折る、全身をなるべく羽毛の塊と化して体温が奪われるのを最小限に。
加えて体を支えている足のつけ根には一種の熱交換装置が備わっています。
そのおかげで足先で冷やされた静脈血は体内から送られてきた動脈血の熱を奪うことで暖かい状態で体内に流れ込ませることが可能になります。
動脈血の方は反対に冷たくなって足先に向かうので、足先がシモヤケになったり足元の氷が足の熱で解けて穴が開いたりするようなこともなくなるんです。
この無駄のないツルの環境適応のメカニズムは専門家が見るとほれぼれするほどなんだと。
まさに環境適応のお手本で頷くしかないもの。
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