韓国で若者の過酷な生活、悲惨な体験をひたすら紹介する「絶望ラジオ」が若者の間で大人気なんだと。自分と同じ境遇の若者の話を聞くことで、安堵感を感じたいという思いもあるよう。
絶望を分かち合いたい、そっと手を伸ばす「絶望ラジオ」
『絶望ラジオ』では、就職に失敗したが親にはうまくいったとウソをついて借金生活を送り、最後は自殺。そんなニュースを拾い続ける
天声人語 20160221 絶望ラジオの告発 – 程序?
番組名のとおり「絶望的なニュース」だけを紹介するポットキャスト番組「絶望ラジオ」が若者に大人気になっているよう。
例えば、「借金が増え続けている。残高7万ウォン。携帯料金20万ウォン・水道料金10万ウォン未納。大学生に融資してくれるところを教えて」と浪費しているわけでもないのに、すでに携帯料金も支払えないほどの厳しい生活に陥っている大学生。
他の苦労しながらも生活している若者を身近に感じられ、自分だけじゃない、という安心感と自虐感が入り混じったカオスな状態。
「絶望ラジオ」だけでなく、若者達が使う流行語にも絶望感溢れる言葉が増えており、
「ヘル朝鮮」は、職場を得られず失望する若者にとって現実は地獄のようだという意味
【グローバルアイ】北朝鮮の核と「ヘル朝鮮」 | Joongang Ilbo | 中央日報
「韓国に生まれるのは地獄に足を踏み入れるようなもの。厳しい決まりだらけの社会。受験地獄と過酷な兵役は誰もが通る道」と日本以上に過酷な受験戦争と今だに行われる徴兵制によって若者の心もぼろぼろになりつつあると。
そんな世間の雰囲気に若い女性たちの価値観、お金の使い方も徐々に変化しており「フォーミー族」と呼ばれる女性が増えています。
「フォーミー族」、ブランド品などお金が掛かる高価なものにお金を使わず、自分の個性を生かすアイテム、ファッションや化粧品などには投資する20から30代の女性を指す言葉。
消えない絶望感を、物を買うことで得られる喜びで埋めようとしているとの調査結果も。
これはいいことなんじゃないですかね、身の丈以上のブランド品を買うよりも、本当に自分に似合う洋服やアイテムを買うほうが金銭的にも精神的にも良さそうですしね。将来的には間違いなくプラスになるでしょうしね。
絶望、絶望と繰り返していますが、韓国の若者はいったい何にそこまで絶望感を感じているのかというと、日本をはるかに越える超学歴社会。
勧告は良い学校に入り一流企業に就職しなくてはという、家族からのプレッシャーが凄まじく、少しでもだらけた姿を見せようものなら「若者は考えなしだから努力しろ」とうんざりするお説教が次から次へと飛んでくる。
かといって、努力の末に大学を卒業してこれから安泰な生活が、と考えるのも甘すぎる。
さらに2015年、若年層の雇用率は41.5%、失業率は9.2%で過去最悪となった
「ヘル朝鮮」、韓国社会覆う閉塞感、若者の絶望感を投影:レコードチャイナ
大卒ですぐに就職できないことは珍しくなく、新卒の雇用率はなんと50%以下というまさに絶望の就職活動に。
正社員の枠はどんどん小さくなっており、猛勉強の末いい大学を出ても、安定したいい人生を送れる保証などすでになく、年々少なくなるパイを取り合いすでに疲労も最高潮に達してしまっていると。
韓国保健社会研究院の調査によると、
韓国では個人の努力で社会的・経済的地位を向上できると考えている人が毎年減っており、その大きな原因に蔓延するコネ入社の多さもあります。
雇用率の低さにコネ入社の多さが重なり、生まれの差を埋めるのは難しいと判断する若者が年々増えており、国も再び希望を持たせるために難しい舵取りを求められています。