石橋美術館という、ブリジストン美術館の姉妹館として60年にわたり九州の美術界に影響を与え続けてきた美術館に運営が石橋財団から市に移り「久留米市美術館」に変更になると。この背景に美術館の経営の非効率さもあるそう。
相次ぐ美術館の閉鎖
福岡県久留米市は、市内にある「石橋美術館」の名称を10月から「久留米市美術館」に変更する。
「久留米の美術館」強調 石橋美術館新名称で市長 [福岡県] – 西日本新聞
美術館の運営が石橋財団から市に移るため市の名前に変更することに。
久留米市長は「名実ともに久留米の美術館であることを示した」と名称変更の理解を説明。「市民が参画し、より市民が親しめる美術館にしたい」とより市民が身近に感じられる美術館運営を目指していくと。
現在石橋財団が所有している青木繁『海の幸』をはじめとする美術品960点は、財団が運営する東京のブリヂストン美術館に移管され、展示品も大幅に変わることに。まさに新たなスタートとなります。
他にも近年美術館の閉館が相次いでおり、
・鎌倉近代美術館
日本で最初の公立近代美術館として、戦後間もない1951年に鎌倉の地に開館した神奈川県立近代美術館。すでに展示は1月末で終了済みで、3月末日に閉館します。
閉館の理由ですが建物の老朽化や耐震性の問題。
神奈川県は「国史跡に指定された鶴岡八幡宮の境内においては現状変更を伴う改修は困難」として閉館を決定しました。
・リッカー美術館
昭和47年に日本最初の浮世絵専門美術館。「平木浮世絵美術館」を経て、平成18年に「平木浮世絵美術館 UKIYO-e TOKYO」を開館しましたが、惜しまれながら閉館。
・清里現代美術館
前衛的な現代芸術作品では国内屈指のコレクション数を誇っていました。
名古屋ボストン美術館もここ数年は4億~5億円程度の赤字が続き来場者が減少気味。2006年に起こった存続問題が再燃する可能性もあり、危機感を募らせています。
美術館を危機的状況に立たせているもの
運営している自治体の財政難で企画展や作品購入費などの予算が削られ、多くの公立美術館が苦境に立たされている。
博物館・美術館の苦境打開の道
あらゆる面で「効率化」が叫ばれるのは美術館も例外ではなく。特に公立美術館は近年、運営費の削減、指定管理者制度の導入と厳しい経営改革を迫られ疲弊も凄いと。
美術館の建築費にお金をかけすぎ、肝心の展示品や美術館の活動に回すお金が無くなるという本末転倒なことになってしまった美術館もあり、しょうがない面があるのも事実。
もちろん肝心の中身のクオリティは低くなり、充実させる事に力を入れなかったサービス精神の欠如も大きな問題になっており改善をせっつかれるのも致し方ない面もあると。
公立美術館になにより大切なのは市民の理解。財政が苦しくても、市民に必要性を理解してもらえれば存続を支える重要な要素になるので、市民が足を運びたくなるような美術館への改革が急務だそうです。