漢方薬のメカニズムを科学的に解明
現在、医学の分野で漢方薬が注目されつつあります。
アメリカの医薬品認可を行うFDA(アメリカ食品医薬品局)が漢方薬を開発治験薬として認めましたし、イギリスでは先月オックスフォード大学が漢方薬の研究を始めると発表されました。
そして今、日本でもやっと漢方薬への関心が高まっています。
日本での漢方薬研究の第一人者であり国立がん研究センター分野長で医学博士の上園保仁さん。
がん研究の最前線で漢方薬の研究が行われているんです。
漢方薬は「なんで効果があるのか」という科学的根拠はこれまで解明されてきてなかったんですね。
「漢方薬のどの成分が身体のどこに効いているのか?」というメカニズムを科学的に明らかにして現代の医療に役立てようと邁進してるのが上園保仁さん。
医学界ではこれまで科学的根拠がないというので完全に無視されていた漢方薬。
上園さんも「国立の病院で漢方薬の研究はするな。無駄に税金を使うな!」と周りの厳しい声にもめげず研究を続けたという経緯があります。
抗がん剤の副作用を漢方薬で解消
上園さんが目指すのは抗がん剤の副作用を漢方薬で解消すること。
吐き気、食欲不振、手足のむくみ、シビレなどの症状を漢方薬で抑えようという試み。
たとえば、
- 食欲不振には「六君子湯(りっくんしとう) 」
- 手足のむくみには「五苓散(ごれいさん)」
- 手術後の腸閉塞予防には「大建中湯(だいけんちゅうとう)」
という具合。漢方薬は生薬の組み合わせでできています。
「大建中湯(だいけんちゅうとう)」は人参(ニンジン)・山椒(サンショウ)・乾姜(カンキョウ)を一定の割合で混合して煎じ、水飴を加えたもの。
上園さんの研究では山椒(サンショウ)と乾姜(カンキョウ)の働きは掴めましたが、人参(ニンジン)は単独ではまるっきし作用していないことがわかりました。
けれど山椒(サンショウ)と乾姜(カンキョウ)に人参を加えることで大建中湯(だいけんちゅうとう)の効果が上がることも発見しました。
上園さんは「漢方薬は調べれば調べるほど理にかなった薬」だと言い、今日も患者さんの痛みや苦しみをやわらげるために漢方薬の研究に邁進しています。
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